2008年2月24日日曜日

第四段 烽火三月に連なり・・・

少し遅いニュースになりますが、2月22日、トルコ軍がイラク北部に侵攻を開始した模様です。目的はトルコからの分離独立を目指すクルド人組織PKKを掃討することにあるとのこと。中東という地政学上のホットスポットで翻弄され続けるクルド人の悲話はここでは割愛しますが(気になる方はここをどうぞ)
この作戦の舞台となるイラク北部はモスルからキルクークまで広く油田地帯が広がっています。
2003年のサダム政権崩壊後、そこの油田から得られる収益をめぐってバグダッド政府(シーア派アラブ人中心)と地域政府(クルド人中心、とはいっても必ずしもトルコ軍が標的としているPKKとの関係は良好ではないのが複雑な所)の緊張関係があったのですが、そこにトルコという外部勢力が、事情はどうあれ手を突っ込んできたわけです。
しかも、トルコにとってイラク北部は、20世紀初頭のオスマン帝国崩壊時に、石油権益を狙う英国の策動によって無理矢理帝国領からイラク領に分割・編入されてしまった地域でもあります。
当然、イラク諸勢力やシリア、イラン等の近隣諸国は、PKK掃討を口実にトルコが原油豊富なイラク北部を自国の勢力圏としてしまわないか、かなりの警戒をもって事態を注視しているものと考えられます。
イラク安定化に内外諸勢力の協力を必要とし、同時にトルコを重要な同盟国とする米国にとっては非常に痛し痒しな状況が発生したことになります。
また、2月中旬にはヒズボラ軍事部門指導者ムグニエ氏がシリア・ダマスカスで爆殺されています。
解決の糸口が見いだせないパレスチナ問題、見通し不明なイランの核問題に加え、世界の火薬庫中東に新たな火種を投げ込むような動きが最近続いています。
果たして大規模誘爆が発生するのか、誘爆は発生するものの小規模なものに止まるのか、誘爆せずに事態は収束していくのか、しばらくイラク北部とそこでの事態をめぐる各国の動向からは目が離せそうにありません。