2008年4月21日月曜日

第三十四段 アデンの海賊事件

イエメン・アデン沖で日本郵船の石油タンカーが銃撃を受けたらしい。死傷者や船体への深刻な被害はないようだ。そもそもこの海域は過去に米国駆逐 艦コールやフランス船籍のタンカーが自爆テロに遭遇している一帯である(コールは港に停泊中に被害にあったが)。何しろアデン湾はスエズ運河・紅海を通じ て地中海とインド洋を結ぶ重要航路である一方、周辺諸国の政情が不安定なため、海域の安全確保が満足ではなく、海賊やテロリストに格好の活動・避難場所が 提供されている。彼らにとってここはまさしくハッピー・アラビアなのだ。従って、同海域でこういった事件(最悪、自爆テロによる被害にあうことも含め て)が今後も発生することは想像に難くない。

さて、そんなアデン湾を挟んでイエメンの対岸、アフリカ側にある地域。世界地図上ではソマリアの一領土として記されているが、そこにはソマリラ ンド共和国を名乗る勢力が1991年以来割拠している。モガディシュオを中心としたソマリア南部が未だ内戦下にあるのに対して、ソマリランドの政治状況や 治安は比較的安定した状況にあるといわれている。にもかかわらず、少数民族の分離独立運動への影響が懸念されて未だ国際社会からは独立国家としての扱いを受けていない(というか無視されている)同勢力だが、もし海賊やテロリストの摘発で結果を上げたり、摘発について国際社会への積極的な協力姿勢を示せば、 その風向きも変わってくるかもしれない。14世紀日本では、懐良親王や足利義満が九州を押さえて、東シナ海域を中心に活動した海賊集団「倭寇」の摘発・規制を行った結果、明王朝から日本国王に封じられている。同じことが21世紀アフリカの角で繰り返されても不思議ではない。

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2008.04.21 ロイター