2008年4月21日月曜日

第三十三段 イランのインフレ

イランでインフレが加速しているらしい。本日日付(2008年4月21日)の日経ネットが報じる所によれば、イラン3月消費者物価上昇率は前年 同月比22.5%で9年振りの水準らしい。主因として記事ではアフマディネジャド政権下の無理な利下げ政策を挙げているが、これに加えて最近のコムギやコ メといった農産品価格の上昇、石油価格高騰を背景にした不動産投資の過熱が寄与している面もあるだろう。
さて、アフマディネジャド政権の主要支持基盤は低所得者層であるといわれる。そこがインフレによって不満を高じらせて行ったらどうなるか? 現 政権は金融引き締めによるインフレとの戦いに乗り出すだろうか? いや、そんなことをすればオーバーキルによってイラン経済全体が冷え込み、より広範な層 に政権への不満が生じる(高まる)ことになり、相対的に現政権と対立する親欧米派の力が増強される危険性がある。従ってアフマディネジャド政権としては、 引き続き緩和的な金融政策を維持するものと考えられる。そうなるとイラン現政権の今後の動きとして予想されるのは、インフレによる悪影響の責任を誰かスケープゴートに擦り付けて国民の不満をガス抜きし、次に対外的・体内的な脅威を煽り立てて国民を政府の下に結集させるといった動きである。その時悪役を務 めさせられるのは、高い確率でイスラエルと米国だろう。当然イラク、レバノン、ペルシャ湾岸といった中東の地理的中心部一帯で政治的・軍事的緊張が高まる ことになる。
(イラクシーア派民兵組織「マフディー軍」指導者サドル師の対イラク政府「全面戦争」警告、活発化するハマスの対イスラエル攻撃を見ると、ひょっとすると既にイラン政府は舵を切っているのかもしれない)
そうなると、その影響は原油価格にほぼ間違いなく波及してくると思われる。そうなった場合、イランよりの外交姿勢を示しているロシアと中国の動 きが気になってくる。恐らく産油国として原油価格上昇が経済的恩恵とほぼ同義語となるロシアは、トラブルメーカーとしてのイランに陰に陽に支援を与えてく るだろう。一方石油消費国でインフレが頭痛の種になりつつある中国としては、イランがあまりに地政学リスクを煽ることは望んでいない筈。「中東で手を汚さ なかった」「誠実な仲介者」として中国が浮上してくる可能性もある。果たして中東に於ける米中合作はあるのか、そんなことを考えさせられたニュースである。
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