2008年6月5日木曜日

第六十二段 ムバラク大統領、サミット欠席

ムバラク・エジプト大統領がサミット拡大会合を欠席するらしい。理由は国会日程の都合がつかないから。記事によれば同大統領は2007年のドイ ツ・ハイリゲンダム・サミットでの同種拡大会合も欠席しているとのこと。(ブルームバーグより)

エジプトは大統領の下に首相がいる他、ムバラク大統領には実質的な後継者として二男のガマール・ムバラク氏(以下ムバラクJrと表記)がいる。従って普通に考えれば国内を息子や首相に任せ、ムバラク大統領自身は国際会議でエジプトの存在感をアピールといった役割分担が可能な筈。それをせずにサミット欠席という決断を下した要因としては、二つの可能性が考えられる。一つはムバラク大統領自身の健康・体力問題。同大統領も既に御年80歳。流石に長距離移動とその後の会議に次ぐ会議は体力的に厳しいのかもしれない。二つ目がエジプト国内情勢の不安定化。今エジプトはコモディティ価格の高騰を背景にインフレが亢進し、国民の不満が高まっている状態。当然、これは政府・与党には逆風、野党やイスラム過激派等の反政権勢力には順風となる。そんな状況下では、「政府・与党の運営を他人に任せるより、自分で舵を取ったほうが安全だ」とムバラク大統領が判断しても不思議はない。

名代として誰かを参加させるに案については、実質的な後継者と目されるムバラクJrは肩書きが与党・国民民主党(NDP)幹事長。これでは首脳・元首級が参加するサミットでは軽量級の感が否めない。かといって首相を参加させるのも、ポスト・ムバラクの行方に余計な憶測や思惑を生じさせかねない。従って名代のサミット出席も現時点では考えにくい。

もしエジプトが不安定化するとスーダン情勢やパレスチナ情勢にも多大な影響(しかも、地域の安定という観点からは望ましくない方向の)を及ぼす可能性が高い。何はともあれ近い将来の話として、ポスト・ムバラク政権の円滑な成立と安定した政権運営を期待したい所。