2008年6月24日火曜日

第七十一段 パンジャーブの憂鬱

6月24日、株価低迷に喘ぐパキスタンでPKO(プライス・キーピング・オペレーション)が発動されたとか。具体的な内容は以下の通りです。
1.1営業日の下げ幅制限を強化 → 従来:5%、制限強化後:1%
2.
買い支え基金 の創設発表 → 基金規模は約4.8億ドルの見込み
(出典:ブルームバーグ)
既にPKOを経験した国の国民の一意見として「やっても多分無駄だよ」と忠告をしてあげたくなります(もっとも、6月24日時点の
カラチ100種株価指数は前日比+8.6%と6年来で最大の上昇率を記録して終わったらしいですが・・・)。

ここでパキスタンの株価の動向を見てみると、2008年6月第3週終値は、2007年10月第1週の8割強といった所。2008年4月に
2007年10月第1週比1.1倍程度まで上昇し、その後じりじりと後退を続けて現在に至っています。株価後退の直接的な要因としては、世界的なコモディティ高に起因するインフレの昂進とそれがもたらす暴動やクーデター、テロといった政情不安への懸念の高まりがあります。

もしパキスタンが何の変哲も無い一途上国であれば、これも「インフレってやーね」ぐらいで終わる話ですが、そうもいかないのが憂鬱な所。パキスタンは途上国であると同時に核兵器保有国(「核兵器持つ前にもっとやることがあっただろ」と突っ込みたくもなりますが・・・)。しかもその核兵器の実質的な管理者たる軍部には、アル・カイーダやタリバンといったイスラム過激派に思想的に共鳴する勢力が広く分布している有様。当然彼らは米国主導の「対テロ戦争」に協力するムシャラフ政権に反感を持っているわけで・・・。そんな国でインフレが昂進して国民の反政府意識が着実に高まっていることを考えると、何とも嫌な感じです。( ̄△ ̄;)

しかもパキスタンと長年対立してきたインドも同時に核兵器保有国。そしてインドもインドでインフレによって国民の生活が圧迫されており、こちらでも排外的なポピュリズムが人気を博する下地は十分に整っているのが怖い所。そう言えばパキスタンの東は核兵器開発疑惑が取り沙汰されているイラン。イランもイランで
アフマディネジャド政権が「弱者保護」を旗印に積極財政と低金利政策を同時実行したため、インフレが進行し、当初はアフマディネジャド政権の政策を歓喜の声で迎えていた貧困層の間でも政府に対する不満が鬱積しつつあるとか。

政府が対外的な危機の演出や排外意識の扇動をすることで、国民の不満の矛先を自分たちから逸らすこと(そして、それにまんまと乗せられた国民が一番痛い目を見ること)は歴史上珍しくもない現象ですが、核兵器保有国でそれをやられるのは少し勘弁してほしい所(グローバルマーケット全体に恐怖や悲観論が蔓延っている現在は特に)。