2008年7月1日火曜日

第七十六段 ピュロスの勝利

ピュロスの勝利(Pyrrhic victory)
犠牲が多すぎて割に合わない勝利のこと。
紀元前3世紀頃の武将ピュロスは、イタリアの都市国家タレントゥムの傭兵としてローマとの数次の激戦に勝利した。このことを部下が称賛した時、ピュロスが払った犠牲の大きさを顧みて「もう一度戦ってローマ軍に勝ったとしても、我々は全く壊滅するだろう」と言ったことに由来する。

何故唐突に慣用句の説明から話を始めたかと申しますと、英豪系資源メジャーのリオ・ティントを巡るM&Aに鉄鋼大手のミタルが参戦するというニュースを見た時、不意にこのピュロスの勝利という言葉が浮かんだからです。

リオ・ティントには、既に同じ英豪系資源メジャーのBHPビリトンが1600億ドル相当の買収額を提示して御座います(因みに日本の国家予算は大体8000億ドル程度)。そこに新たな競争相手が参入。しかもその相手が資金力には定評のあるミタルスチールとなれば、BHPが提示した買収額は更なる上乗せを余儀なくされるものと思われます。そうなった時、よしんばBHPがミタルを退けてリオ・ティントを手中に収めることができたとしても、果たしてそれが採算に見合った取引となるのか、疑問の余地なしとはしません。前掲のピュロスの勝利になっても不思議はないものと思われます。逆にミタル側は、たとえリオ・ティントを買収できなくても、買収額の引き上げでBHPの採算性を毀損できればそれで十分と考えているのではないでしょうか。

それに、リオ・ティント株式の9%を保有する中国アルミの向背も気になる所。世紀の買収劇から一層目が離せなくなりそうです。(今回の買収劇で主要関係企業がみんなボロボロになった時を見計らって、我らがヴァーレが美味しい所を全てかっさらっていく展開になれば言うことなしなんですがねぇ・・・。)
( ̄w ̄)

出典:ファイナンシャル・タイムズ 6月29日