2008年7月25日金曜日

第九十二段 米軍撤退後のイラク経済は?

ある日、反ブッシュの人物と親ブッシュの人物が口論をした。
反ブッシュ:「ブッシュのイラク侵攻はとんでもない愚行だった。おかげでどれだけの無益な
       犠牲がでたことか・・・」
親ブッシュ:「いや、ブッシュ大統領のイラク解放によって、イラクにアメリカン・デモクラシー
       が根付いた」
反ブッシュ:「君は何を言っている? 今のイラクでは役職はコネで決められ、貧富の差が
       どうしようもないほど広がり、多くの人々が銃で殺されているんだぞ!」
親ブッシュ:「君こそ何を言っている? 今君が言った事こそ、アメリカン・デモクラシーの真
       髄じゃないか!」

政治家の評価は棺覆いて後定まるとは申しますが、覇権国アメリカの第43代大統領、即ち当今の治天たるW.ブッシュ氏は、「弱く不安定なイラク」と「イランの影響力拡大」を(少なくとも一時的に)もたらした大統領との評価を避けることはできないでしょう。

さて、そのイラク、「イランに対する防波堤」から「イランの実質的な勢力圏」に移行しつつあるイラクでは、最近、資金需要が上昇傾向にあると在イラク米国大使館が申しているとか。ロイターが米国大使館の調査結果として報じている所によれば、民間銀行が今年2月に実施した融資総額は約7.5億ドル、3月時点の信用状残高も1.9億ドル近くにまで達したとのこと。米国大使館はこれを以って「イラクの金融セクターが回復傾向にある」としています。(記事リンク:ロイター

まあ、「イラクの復興は順調ですよ」と印象付けたいが為の主催者発表臭がニュースに漂うのは兎も角(因みに、記事によれば、米国大使館から同調査についての情報提供要請があった時、イラクの中銀と財務省はこれを拒否したとか・・・)、気になるのが、米軍撤退後のイラクにおける金融経済と通貨覇権の帰趨。

ここで視点を北方にずらして、欧州バルカン半島はコソヴォの状況を見てみますと、特筆すべき産業も無く、隣接するセルビアとも対立するコソヴォの経済は、NATOやEU、国連等の落とすユーロやドルに強く依存した状態にあります。そのため、地域情勢が下手に安定化してNATOやEU、国連が撤退してしまうことを恐れる空気もあるとか。

現在のイラクでは、駐留米軍とその周辺が落とす米ドルが大きな影響力を持っていると推測されますが、ポスト・ブッシュ政権が米軍のイラク撤退を実行した時、巨大な需要マシーンでもある米軍の消失にイラク経済が耐えられるのか? そこが気になる一点目です。
もう一点気になるのが、莫大な原油埋蔵量を擁し、同時に中東の地理的中心でもあるイラクで米ドルの影響力が落ちた時、勢力を強める通貨はドコか? ユーロか? ロシア・ルーブルか? イラン・リヤルか? それとも・・・。