2008年9月9日火曜日

第百十四段 北の国から08 脳卒中疑惑

北の将軍様こと金正日北朝鮮総書記について、「体調が優れないらしい」とか「健康上の理由で建国60周年記念行事には顔を出さないそうだ」といった情報がここ最近飛び交っておりましたが、22時41分の日経ネットに「金正日総書記、脳卒中か」という情報が載っておりました(出典:日経ネット)。

まぁ彼の健康不安説は今までにも度々報じられておりましたし、66歳という年齢とメディアで報じられている体格を見れば、糖尿病や高血圧ぐらいなら患っていても不思議はないような気はします。そうなると、勢い後継は誰になるかという話になりがちですが、点額法師個人としては、後継者個人云々よりも、後継者のバックにどの国家がつくのかが気になります。

そもそも北朝鮮の政治史を振り返ると、不明な点はまだ多いものの、隣の巨人中国から如何に独立を維持するかの歴史であったと見ることもできます。それは内にあっては親中派と民族派の権力闘争をもたらし、外にあってはソ連と中国とを互いに牽制させ、両者から利益を引き出すという外交政策として現われました。そして1991年にソ連が崩壊すると、競争相手の消失と1980年代に始まる経済大国化によって中国が一気に北朝鮮(同時に韓国)への影響力を高めてきます。この動きに対して中国に呑み込まれることへの危機感を強めた北朝鮮首脳部が、新たな対中牽制力として着目したのが米国であり、その米国の気を引くために起こしたのが弾道ミサイル実験や二度に亘る朝鮮半島核危機だったと言えるでしょう。では、北朝鮮の支配権を中国に渡すのを潔しとしなかった金正日総書記の没後、その後継者は中国に従うのか、米中を手玉にとって独立(というか金一族の支配権)を維持するのか、それとも日本や韓国と同様に米国の安全保障の傘に入る道を選ぶのかが問題となってきます。

米国がイラクやアフガニスタンの泥沼にあがき、その上、ロシアとの関係も緊張が高まっているのを見ると、現在の米国には、朝鮮半島や極東アジアに手を回す余裕はなく(或いは中国によるユーラシア東部からのロシア牽制への見返りとして)、朝鮮半島における中国の勢力拡大を黙認する可能性は十分にあります。一方で中国が米国に敵対的な姿勢をとるようなら、米国は核兵器容認や経済援助等の対北朝鮮テコ入れ策を実施することで、中国牽制の駒として北朝鮮を利用する道を選び、それに北朝鮮が呼応する可能性もあります。もう一つ、米中の北朝鮮を巡る対立が、北朝鮮内部の騒乱を引き起こすといったシナリオも考えられます。最終的にポスト金正日の北朝鮮がどのような道に進むか、判断できる材料はまだまだ少ないですが、米中を中心に「次」への影響力を確保しようとする動きは既に始まっていると見てよさそうです。

点額法師個人としては、鉄鉱石豊富な北朝鮮が中国に呑み込まれるという事態は、投資先ヴァーレ(鉄鉱石生産世界最大手(2008年9月上旬時点)の資源メジャー)の対中価格交渉力を弱めかねない、北朝鮮の金属資源が中国企業に独占されるといった点から、あまり望ましい事態とは言い難いので、どちらかと言えば米国に頑張って欲しい所ではあります。( ̄w ̄;)