2008年11月5日水曜日

第百四十八段 アメリカ大統領選決着

予備選の段階から幾つもの下馬評、固定観念を薙ぎ倒して展開してきた2008年米国大統領選。それが遂に決着を見ました。

勝者は民主党のオバマ-バイデン・コンビ。獲得選挙人数は競争相手の共和党マケイン-ペイリン・コンビにダブルスコアの差をつける334人(因みにマケイン-ペイリン・コンビは157人の獲得に止まった)。

当ブログの第百四段で点額法師はマケイン候補の当選を予想しておりました。その時の根拠として挙げたのが、予備選でオバマ氏と民主党大統領候補の座を激しく争ったヒラリー氏の支持者たちが、2012年大統領選を睨んでマケイン支持に傾くという見通しでした。ところが、現実には民主党支持者の大分裂と言う事態は起こらず、寧ろ無党派層も長年の共和党政権への不満や飽き等を背景にオバマ支持に流れ、オバマ大勝の流れを形成しました。また、国際金融市場の暴風雨による実体経済の落ち込みが、与党共和党への逆風となったことも見逃せないでしょう。

しかし、オバマ大統領が率いることになる次期政権ですが、下手に期待水準が高い分、何かの拍子にそれが暗転した時のショックが恐ろしゅう御座いますな。これは何も「チェンジ」に沸き立つ米国内に限った話では御座いません。イスラム圏では「オバマ氏がイスラム教徒だ」という噂が広がり、米国の外交政策がイスラム世界に宥和的なものになることへの期待が膨らんでいるとか(出典:ブルームバーグ 何やら中世ヨーロッパに広まったプレスター・ジョン伝説を彷彿とさせます)。そんなイスラム圏の(一方的で不正確な)期待が果たされなかった場合、彼らの(手前勝手な)怒りがどのようにして爆発することになるのやら・・・・?

そして、非WASPの若くカリスマに溢れた民主党大統領というと、どうしてもダラスの事件に考えが及んでしまうのは仕方のない所。アメリカの卓絶したハード・パワー、ソフト・パワーを前提とした今までの国際的な政治経済秩序の揺れが暫く続くであろうことを考えると、あまり実現して欲しくはない可能性では御座います。が、はてさてどうなる事やら(それでも外交通で上院議員生活の長いバイデン氏が副大統領に控えていることを考えれば、マケイン-ペイリンで類似のケースが発生した場合より、遥かに安心感はある)。

当年とって47歳と言う若き大統領がこれからどのような歴史を紡いで行くか? 神ならぬ浅学非才の身にはわかりかねますが、唯一つ、唯一つの望みを申せば、この若き大統領とそのブレーンたちには、「世の中には正義、人権、民主主義よりも、まず安定、秩序、均衡が優先されるべき領域がある」ということ理解した上で様々の決断を下して欲しいものです(さもなくば、イラクを泥沼と化し、自らもそこに沈んだ第四十三代大統領の轍を踏みましょうぞ!)。