2008年12月28日日曜日

第百八十二段 北京からのプレゼント

この12月を振り返ると、中国が米国との関係強化に動き出していることを窺わせるニュースが報じられております。

・中国政府による米国債積極購入(出典:日経ネット
→過去のブログでも書いたような気がしますが、結局中国の莫大な外貨準備を受け止められる
 だけの規模・流動性を有する市場は、エージェンシー債市場が信頼を失った今、米国債市場
 しかないわけで、金融危機云々を抜きにして中国は米国債の購入を続けていかざるを得ない
 立場にあるといえます。それでもCDS市場で米国債のデフォルトリスクがジワリジワリと上昇して
 いく中、世界最大の外貨準備国が米国債購入を積極化していくことは、金融面のみならず、
 政治面でも一定の効果をもたらすでしょう。一見すると当たり前の行為、否応なくしなければな
 らない行為を宣伝や実行タイミングを上手く調節することで、相手に着せる恩に変えるやり方
 は、個人の生活においても学ぶべき点が多そうです。

・中国海軍、ソマリア沖の対海賊作戦に艦艇を派遣(出典:日経ネット
→派遣される中国海軍艦艇は、既にソマリア沖に展開している米国等のNATO艦艇と協力しな
 がら海賊掃討を行うらしいです。「海賊退治」という国際社会が納得する大義名分を掲げて兵
 を動かし、同時に既にソマリア沖に艦艇を派遣している米国等のNATO諸国との関係強化、
 外洋海軍としてのノウハウ・経験蓄積、各経済協力とセットにした上でのアフリカ諸国へのプレ
 ゼンス誇示、これらの戦略的利益を同時に獲得しようという中国の布石の置き方は実に鮮や
 かなものです。
 今後、更に中国が人民解放軍をPKO名目なんかでアフガンやイラクに派遣することになった
 ら、日本の存在感はワシントンの外交レーダーから一気に消失してしまうのだろうなぁ・・・・。
 (その分、米国がもがく泥沼に中国も引きずり込まれるリスクはあるとして・・・・。)
 因みに、中国共産党政権が海軍艦艇をアフリカに派遣したのは、確か2007年の7月28日の
 タンザニア・南アフリカ訪問が最初だった筈(出典:人民日報(日本語版))。それより古いも
 のとなると、記録上は14世紀(日本で言えば、大体足利義満なんかが活躍していた頃)に明王朝
 によって実施された「鄭和の大航海」まで遡ることになる。
 
・中国、トウモロコシ輸出抑制か(出典:ブルームバーグ)
→国内の内陸農村部と沿海都市部との巨大な経済格差に悩む中国は、農村所得
 の引き上げで問題解決を図ろうとしております。当ブログの第百七十一段では、
 「北京政府は農村所得引き上げ策の一環として、トウモロコシ輸出の促進を図って
 いるらしい」と書きました。ところがその後の動きで、寧ろ中国政府はトウモロコシ
 輸出を抑制する方向に舵を切ったらしいとのニュースが流れました。この促進から
 抑制への180度の転換が意味する事は何か? 色々なことが考えられようと思いま
 すが、一つ「対米配慮」というのも考えられるかと思います。米国の世界的な影響力
 が、経済や軍事面での突出のみならず、その巨大な穀物生産とその輸出にも支え
 られているのは周知の通り。もし中国が当初の予定通りトウモロコシ輸出を促進して
 いた場合、米国産トウモロコシの世界的シェアは下落することが考えられます。そう
 なった場合、ワシントンの目には「政治・経済面のみならず、食料安全保障でも影響
 力拡大を図る中国」という構図が浮かぶことになり、徒に警戒感を高めてしまう可能性
 が考えられます(特に金融危機やイラク失政で米国の国際的威信が大きく揺らいでい
 る今は)。そんな事態の回避を目的の一つとして、中国政府はトウモロコシ輸出を抑
 制することにしたのではないか、というのが点額法師の考える所。

これらオバマ次期政権を睨んだ秋波が中国から米国に送られ、2009年1月1日には米中国交樹立30周年という記念が控えている中、米国との同盟を外交基軸に据えている日本はどうするんですかねぇ? 政権の持続性に疑問符がつき、「あれはできません。これもできません」、「どうせ民主党政権なんだから日本軽視・中国重視なんでしょうと」と言っているだけでは、間違いなく米中の狭間に埋没していくことになろうかと思われます。まぁ、それで日本国民(もっと突き詰めて言えば点額法師個人)の豊かさと平和、自由が守られるなら、一向に埋没してもかまわないのですが・・・・。( ̄w ̄)

そんなことをつらつらと考える2008年年の瀬。