2008年12月27日土曜日

第百八十段 コンタンゴ1

原油価格について欧米の投資銀行連が「1バレル=180ドル」、「1バレル=200ドル」と言った者勝ち的な予想をぶち上げ、それに某国の経済官庁事務次官が逆切れしていた、あの狂乱の日々。バイオエタノールが持て囃されたことによるトウモロコシ・コムギ・ダイズの先物価格乱舞と世界各国で発生した「喰い物よこせ」暴動が世を騒がせた騒乱の日々。勢いに乗る金属メジャーが中国や日本の鉄鋼メーカに2倍近い鉄鉱石価格値上げを突き付けた熱狂の日々。

・・・それも今は昔の物語。今やWTIはピークから100ドル以上も下落し、農産品も鉱物も等しく価格下落に巻き込まれる毎日に御座います。その余波によって一時盛り上がった「資源小国日本は、資源の安定供給を如何に図るべきか」といった議論は胡散霧消してしまいました。

では、今後もコモディティ価格は下落の一途を辿り続けていくのでありましょうや?
いや、市場はどうもそう考えてはいないようです。と申しますのも、NYMEXやCBOTといった商品先物市場を見てみますとコンタンゴという状態が依然として継続しているからです。

そもそも先物市場を見てみれば、そこには「限月」というものが御座います。この限月とは先物契約の満了月、有態に言えば、取引決済の最終期限となる月のことです。この限月が最も近いものを「期近」、期近より未来のものを「期先」と申します。そして先物市場参加者は、限月の異なる先物を売買して利益確保やリスクヘッジを行っているわけです。WTIを例としますと、現在の期近が2009年2月となり、そこから一月毎に限月が設定されて、最も遠い期先が2017年12月となっております(基本的に米国の先物市場では期近が最も多く取引されるため、単に「WTI価格」といえば期近に付けられた価格のことを指します。このことはトウモロコシ等の農産物においても同様です)。

そしてコンタンゴとは、先物価格が期近から期先に行くに従って価格が上昇していく状態のことです。このような状態になる場合、先物市場では「現在は潤沢な商品供給が将来的には逼迫してくる」との予想が支配的であることを示します(逆に期近から期先に行くに従って価格が下落していくことを「バックワーデーション」と言い、市場が将来的な供給過多を予測していることを示します)。
それを具体的なグラフの形にしたのが以下の図に御座います。

WTI                                             トウモロコシ(シカゴ)

NYMEXデータより点額法師作成                             CBOTデータより点額法師作成

WTIをみれば、12月第2週から第4週にかけて全限月で価格が下落し、一方のトウモロコシ(シカゴ)では12月第3週から第4週にかけて全限月で価格が上昇していることが分かります。一見すると対照的な両者の動きですが、期近から期先に行くに従って価格が上昇している点、つまりコンタンゴの状態にあることは共通しております。特にWTIを見れば、2009年2月限から2011年8月限にかけての価格上昇が急になっているのが気になる所。(w ̄;)

この先物市場が示した原油やトウモロコシの先高予想。そして各国中銀が金融危機打開のために行った(そして今も行っている)大規模な市場への資金供給。この二つを考え合わせれば、金融危機終息後の世界がゴルディロックス経済の状態に戻ってくれることは、あまり期待できなさそうです。