2009年1月16日金曜日

第百九十四段 サウジとパキスタン、対テロ協力強化で合意

2009年1月15日のパキスタン英字紙Business Recorder紙に、以下のようなニュースが掲載されていた。
Prince Muqran assures all-out help in rooting out terrorism
RECORDER REPORT
ISLAMABAD (January 15 2009): Saudi intelligence chief Prince Muqran bin Abdul Aziz has assured his country's full co-operation to Pakistan in elimination of terrorism and extremism. He stated this during a meeting with advisor to Prime Minister on Interior, Rehman Malik here on Wednesday.

Interior Secretary Syed Kamal Shah, DG National Crisis Management Cell, Tariq Lodhi and a five-member Saudi team also participated in the meeting. Saudi intelligence chief appreciated the efforts of Pakistani law enforcement agencies in combating terrorism and normalising the law and order situation in the country. He said that Saudi Arabia wants to further enhance defence co-operation with Pakistan. Rehman and Muqran also discussed matters of mutual interest and ways to bolster bilateral trade and economic co-operation between the two countries. Rehman Malik informed the Saudi intelligence chief about the operation against extremists and terrorists in Pakistan.

Meanwhile, the delegations of the two sides also held talks and exchanged information to curb terrorism and extremism. The sides also discussed issues pertaining to co-operation and training of the law enforcement agencies.(出典:Business Recorder)

要するに、パキスタンとサウジの治安・情報機関トップ間で、対テロ協力の強化を主目的とした会合が持たれ、両国は対テロ協力を中心に今後も二国間関係を一層強化していく方向で合意したというのが記事の大まかな内容である。

従来よりパキスタンとサウジアラビアはイラン(そしてかつては旧ソ連)という共通の脅威に対抗するため、軍事面を始めとして強い協力関係を有してきた(サウジが保有する弾道ミサイルも、中国製のものをパキスタンが仲介したものだと言われている)。その両国が今このタイミングで改めて関係強化を前面に出してきたのも、やはりイランの動向を睨んでのものと考えられる。

今世界の耳目はガザ紛争に集まっているが、そのガザ紛争の一方の当事者であるイスラム過激派組織ハマスのスポンサーとして積極的に武器や資金を供給してきたのがイランである。またガザ紛争に乗じる形でレバノン南部からイスラエル挑発のためのロケット弾攻撃を加えているイスラム過激派組織ヒズボラの最大の庇護者もまたイランである。

そのイランがヒズボラとハマスをイスラエルに嗾けて紛争をエスカレーションさせることは、イスラエルに敵愾心と憎悪を強めるアラブ民衆の間でイスラエルと戦うハマスやヒズボラ、ひいては彼らの親玉であるイランの声望を高めることになろうし、同時に怒れる民衆と西側諸国との関係を慮って慎重に動こうとする中東諸国政府との亀裂を拡大させることで各国の政情不安を惹起しかねない。そのことは、世界の原油の大半が埋まる中東・湾岸地域でイランの影響力を増大させる方向に作用するものと考えられる。これはイラクやペルシャ湾、アフガンやバルチスタンを巡ってイランとの対立を抱えるサウジとパキスタンにとっては看過し得ない事態と言えよう。

そう考えると、今回のニュースは、イランを東と南から挟み込むように存在するパキスタンとサウジが、ガザ紛争を煽り拡大させることの無いよう、イランに向けて放った牽制のメッセージと見ることができるのではないだろうか。