2009年2月22日日曜日

第二百二十段 山西省ガス爆発

中国山西省の鉱山でガス爆発が発生し、100人近い人員がまだ地下に取り残されているという。2月22日にBBCが「新華社報道」として報じている(以下にBBC記事を掲示)。

Gas explosion traps China miners

The blast at the mine in Gujiao City, in Shanxi province, occurred before dawn when 436 miners were underground, Xinhua news agency said.

Initial reports suggested that 340 miners had managed to escape but 96 remained trapped underground. The mine belongs to Shanxi Jiaomei Group.

China's mining industry is the world's deadliest, with 3,200 deaths last year.

However, China has said safety is improving, with the number of fatalities from coal mining accidents falling 15% in 2008 compared with the previous year.

Xinhua also reported that the number of accidents had fallen by 19% to 413,700 last year.(出典:BBC

事件が発生したのは、山西省(中国有数の鉄鉱石と石炭の生産地帯)の地方都市古交(Gujiao)市。位置は以下の地図に赤四角で示したように、省都太原市に隣接している。

GoogleMapsに点額法師が加工を加えたもの
さて、ここでふと気になったのが現在の山西省の省長もしくは省書記の処遇である(何となく語感からすると省長が省のトップという感じがするが、実際には省書記がトップである)。

というのも、前省長の孟学農は、2008年9月に発生した土石流事件(無茶な炭鉱開発に起因する土石流の発生によって260人が犠牲になったと言われる)の責任を取らされ、胡錦濤国家主席に近い政治的立場であったにもかかわらず、在任1年で省長の職を逐われているからだ(因みに、孟学農は北京市長時代にはサーズ問題で詰め腹を切らされているという、政治的には甚だ運の無い人物である)。

一方、トップの省書記であった張宝順(彼もまた共青団出身で胡錦濤派の人物と目されている)は2008年10月に北京に呼び戻され、「中共中央科学的発展観学習実践領導小組副組長」という役職についている。一地方(それも資源面で重要な地方)のトップであった人物に与えるには軽職の印象があるが、或いはほとぼりが冷めるまで閑職に置いておき、外には「降格」で事件の責任を取らせたという印象を与えつつ、後に再起のチャンスを与えるということなのかもしれない。

そんな張宝順の後を継いで、現在の山西省のトップたる省書記を務めているのは宋秀岩(女性:前職は青海省省長)という人物である。彼女もまた、共青団出身で政治的立場としては胡錦濤国家主席に近い立場とされている。また、近親者に中国共産党や人民解放軍の有力者はなく、所謂「太子党」には該当しない(別の言い方をすれば、何かしらのスキャンダルが発生した場合、力強い藩屏となってくれる存在が無い)。
また、省長は王君という人物が務めている(彼についての詳細は職歴以外は調べきれず)。

折しも現在の中国では、世界的な景気後退を背景とした経済成長率鈍化が失業率や企業破綻を増加させ、沿海都市部の経済的成功を内陸貧困省に均霑する 役目を果たしていた農民工の所得を痛撃している他、一向に進まない反腐敗闘争や依然として跋扈する縁故主義を背景に、中国国民の間で現政権に対する不満が 徐々に昂じつつあると言われる。

そんな中、胡錦濤派と目される人物がトップを務める地方で、下手をすれば100人近い死者が発生するガス爆発事件が勃発した。

さて、現山西省政府は残された100人近くの鉱夫の救出に成功し、発生する批判の声を最小限に抑え込むことができるのか? それとも救出に失敗して非難囂々の中、省長やその他幹部をスケープゴートにして逃げ切りを図るのか? 最悪、トップの省書記にも累が及ぶことになるのか? そして今回の事件を機に、所謂上海閥や中国共産党内保守派といった胡錦濤政権に反抗的な勢力がどうでてくるのか?

全く以って興味が尽きない。( ̄w ̄)