2009年4月29日水曜日

第二百六十三段 タリバン、アフガンでの春季攻勢を宣言

アフガニスタンにおいて、反政府組織タリバンが春季攻勢の実施を宣言したという。2009年4月29日の新華社は以下のように伝えている。
塔利班宣称将在阿全境发动新一轮“春季攻势”
新华网阿富汗坎大哈4月29日电(记者林晶)塔利班武装29日对媒体公布一段录音声明,宣称针对美国最近公布的对阿富汗新战略,塔利班武装将从4月30日起在阿富汗全境发动新一轮“春季攻势”。

声明说,塔利班将于4月30日起在阿全境发动代号为“胜利”的春季攻势,采取伏击、路边炸弹袭击和自杀式爆


炸等手段,对外国驻军、外国使团、阿政府官员和安全部队发动袭击。

声明还威胁说,建筑及交通运输公司应停止为外国驻军和政府军服务,否则将同样受到“惩罚”。

美国政府今年3月宣布对阿富汗的新战略,决定今年夏季前向阿增派1.7万名士兵,主要派驻塔利班活动频繁的阿南部地区。同时,美将增派民事官员帮助阿富汗解决重建和发展的问题。(出典:新華社

記事の注目すべき点は以下の通りである。
 ・タリバンは、4月30日からのアフガン全土における春季攻勢の開始を宣言した。
 ・タリバンは攻撃対象として外国軍、外国外交団、アフガン政府職員・治安関係者を挙げている。
 ・タリバンは、アフガン政府や外国軍から業務を請け負っている運送業者に対しても警告をしている。

ここで想起されるのが、ヴェトナム戦争における1968年1月のテト攻勢である。今日では、攻撃を受けた米軍・南ヴェトナム軍よりも攻撃を仕掛けた北ヴェトナム軍の方が被害が大きかった(軍事的には敗北と言って差し支えないほどであった)ことが判明している。
しかし当時は、北ヴェトナム軍のほぼ唯一の戦果である「アメリカ大使館の一時占拠」がマスコミを通じて世界に配信され、戦争の勝利を確信していたアメリカ世論に大きな衝撃を与えた。
また、南ベトナムの警察庁長官グエン・ゴク・ロアンが捕虜とした南ベトナム解放民族戦線の将校グエン・ヴァン・レムを路上射殺した映像も世界中に配信され、世界的な米国・南ヴェトナム悪玉論を盛り上げることとなった(因みに、グエン・ゴク・ロアンは家族と部下をグエン・ヴァン・レムが指揮したテロで失っている。だが、当時はそうした背景の説明もないまま、残虐な南ベトナム高官による私刑というニュアンスでのみ問題の映像が取り上げられた)。
これら映像によって喚起された米国内・国際的世論の動向が、北ヴェトナムの勝利に大きく貢献したことは贅言を要しない。

そして、話を戻してアフガニスタンにおけるタリバンの春季攻勢宣言。もしここでカブールで欧米諸国の大使館が派手に爆破されたり占拠される映像、多国籍軍の兵士の誤解されかねない映像(グエン・ヴァン・レム映像のような・・・・)、そういったものがネットやマスコミによって世界中にばらまかれた場合、米国やNATOは早晩アフガンから撤退せざるを得なくなるだろう。
折しも世界は景気後退の真っ只中。もしアフガン作戦の正当性や成功の可能性を疑わせるような映像が流れれば、「不正な戦争に出す金は無い」という声が一層高まり易い状況である。

逆に考えれば、タリバン側としてはどれだけの犠牲を払おうが、世界に衝撃を与える映像一枚を作り出すことができれば、「アフガンからの多国籍軍追放」という戦略的目的の達成に大きく前進することになる。

それにしても、上記記事、配信地がカンダハル(坎大哈となっている。
右記地図にある様に、カンダハルはタリバンの主要根拠地となっているアフガン南部に存在し、人口ではアフガン第2位(1位はカブール)、国際空港が存在するというまさに要衝である。従ってアフガン駐留多国籍軍にとってもタリバンにとっても必争の地であり、治安の安定度はあまり高くない。

そんな場所に人を置いて取材(情報収集)を行っている新華社の動きは、日本や西側諸国のマスコミが主にカブールや隣国パキスタン、インドに人を置いてアフガン取材を進めているのとは対照的である。

何やらアフガン情勢に対する中国政府の立場というか関心の強さを問わず語りに語っているようで興味深い。