2009年5月12日火曜日

第二百七十段 北朝鮮に石油?

東アジアの厄介者北朝鮮が割合に地下資源(石炭、鉄鉱石等)に恵まれている国であることは、当ブログでも度々触れてきたが、その北朝鮮の地下資源権益にブラジルが目をつけているのではないか、という点額法師の憶測(妄想?)を書いたのが当ブログの第百四十一段

記述内容は以下の通りだが、


ここにきて次のようなニュースが報じられた。
【リオデジャネイロ=共同】北朝鮮の朴義春外相は11日、ブラジルを訪問しアモリン外相と会談、日本海にある北朝鮮領海内での深海油田探査をめぐ り、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスによる事業協力への期待を表明した。スペイン通信が伝えた。ブラジル側の対応は明らかにされていない。

 ブラジルは平壌に大使館を開く方針。

 業界筋によると、ペトロブラスの深海油田の探査、掘削技術は世界最高水準とされ、中国なども注目しているという。(20:30)(出典:日経ネット

北朝鮮に石油。一般に「中国からの石油に依存している」と言われるあの北朝鮮に石油。どうも違和感バリバリというか、意外な組み合わせに思えたので、世界の地下資源情報が充実しているJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のHPに関連情報が無いかと検索をかけてみた所、2002年と2006年に発表されたレポートに北朝鮮の油田開発についてまとめたものがあった(JOGMECでの検索結果)。

このうち、2006年のレポート内容から関連する部分を抜き出すと、以下のような感じになる。
・北朝鮮には油田が存在し実際に生産も行われているが、その量は微々たるもので自国の需要を満たすには程遠い水準と考えられる。
・北朝鮮では1990年代から複数国の企業に油田探査を認めているが、商業ベースで成功した企業は現時点で存在しない。
・依然として、北朝鮮の石油資源は中国からの輸出に依存していると考えられる。
・北朝鮮国内の原油予想埋蔵量については、信頼できる情報が極めて少ない。
・限定的な情報から推測すれば、比較的有望な鉱区は西海海域である。
・2005年12月、北朝鮮は中国と西海(黄海)海域での油田共同開発で合意した。

上記を踏まえた上でペトロブラスの状況を顧みると、同社は2月に中国開発銀行から油田開発資金を調達する覚書を交わしている。
だから北朝鮮がペトロブラスに中国への輸送も容易でそれなりの原油埋蔵量も期待できる西海(黄海)海域で油田開発を要請するというのなら、話は実に分かり易い。
しかし、実際に北朝鮮がペトロブラスに油田開発を持ち掛けてきたのは、東の日本海側。
北朝鮮は本気で未知の油田を見つけようとしているのだろうか?
それとも、単に「原油埋蔵地」という疑似餌をちらつかせることで米日韓から都合のいい反応を引き出そうとしているだけなのだろうか? 
それとも、その両方を狙っているのだろうか?
今一つ判然としない。

ただ、ペトロブラスの一株主としては、同社には今回の北朝鮮の申し出を受諾して欲しくない。何故なら政治、採算性、その他あらゆるリスクが高過ぎるからだ。
そもそもペトロブラスは最近生産の始まったトゥピ油田を筆頭に自国ブラジルの沖合に有望な油田を抱えているのだから、焦って海外油田の探査・獲得に乗り出す必要性は低い。まして、本当に原油があるのかどうかも不明なトラブルメーカーの手を握る必要な全くない
ここは「動かざること山の如し」の精神でペトロブラス経営陣には決断を下して欲しい所である。