2009年7月2日木曜日

第二百九十四段 サウジ、国境警備システム強化のこと

2009年6月29日、イラク駐留米軍戦闘部隊が都市部からの撤退を完了させた。これによって、2003年3月19日のイラク戦争開始後のイラクにおいて一つの政治的節目が打たれたことになる。

しかし、今まで散々血で血を洗う凄惨なテロが繰り返されてきたイラク都市部が、突然「米軍撤退後は見違えるほど平和になりました」なんて展開はまずあり得ないと見てよいだろう。寧ろ、米軍戦闘部隊撤退によって巨大な力の空白が生じ、それを埋めようとする諸勢力が抗争を更に激化させる可能性が高い。そしてその抗争はイラク内の無秩序と混乱を増幅させ、テロリストや難民の流入といった厄介な問題を周辺国に投げかけることになるだろう。

7月2日にBBCが報じた以下のニュースは、そんなイラク情勢が背景にあるものと考えられる。

Defence and aerospace group EADS has won a contract worth an estimated $2.27bn (£1.4bn) to help Saudi Arabia improve its border security.
The five-year deal will expand on the pan-European firm's existing contract with the Saudis to improve security along its border with Iraq.
The new deal covers all of Saudi Arabia's other land and sea boundaries.
EADS will provide everything from new radar stations to camera systems and reconnaissance aircraft.
'Increased ability'
Analysts said the Saudi government is particularly determined to strengthen its border with southern neighbour Yemen, which it blames as the main source of smuggled weapons used by militants.
"You want to increase the ability of the border guards to achieve their goals," Saudi Interior Ministry spokesman Mansour al-Turki told the AP news agency.
"It's not enough to rely on traditional technology."
EADS is said to have beaten France's Thales, UK firm BAE Systems, and US group Raytheon to win the contract.
Saudi Arabia has the world's ninth largest defence budget, spending $38.2bn last year, according to the respected Stockholm International Peace Research Institute.(出典:BBC

記事の概要は、サウジが国境警備能力強化のために欧州防衛大手EADS(最近よく墜落するエアバスの親会社)と総額22億ドル以上の契約を締結したというもの。当該契約は元々EADSとサウジがイラク国境警備を強化するために締結していた有効期間5年の契約が拡張されたもので、EADSが警備強化を支援する国境はイラク・サウジ国境からサウジの全国境に拡大されることとなったという。

記事内では、当該契約の目的として、サウジは国内の反体制派に対する主要な武器補給路と化しているイエメン国境の警備強化を狙っているという専門家の取り上げているが、サウジが当該契約を発表したタイミングを考えれば、EADSとの契約はサウジが米軍撤退後のイラクに何ら楽観的な見方を抱いていないことを示しすものだといえよう。油田開発への外資参入等が注目を浴びるイラクだが、その安定化は依然として遥かな道程のようである。

・・・・で、そんな国士様的な意見はひとまず置くとして、個人的に最も衝撃的(痛撃的)だったのは、サウジ国境警備支援契約受注でEADSに敗れた企業の中に我らがレイセオンが含まれていたこと。・・・・泣いてもいいですか?(なに
前回の「サウジ、ユーロファイター導入」といい、どうも中東防衛市場での米国勢退潮を感じさせるニュースが続いている・・・・。全く憂鬱なことである。(´・ω・`)ションボリ