2009年8月26日水曜日

第三百二十段 死亡確認!

『魁!!男塾』という漫画がある(全34巻 宮下あきら作 集英社)。一言で言えば並はずれた身体能力と武術の腕前を誇る登場人物たちが「デタラメ人間の万国ビックリショー」も真っ青な戦いを繰り広げる格闘漫画である。
そのあまりに(色んな意味で)壮絶な戦いの果てに死人が出ることも珍しくなく、特に味方の人物が斃れた時には医務担当の王大人(ワン・ターレン)という人物の口から「死亡確認!」という無情の宣告が下されることになる。

共同通信が報じた以下のニュースを目にして、そんな王大人の宣告を想起してしまったのは私だけであろうか(因みに記事の見出しは「メスード司令官の死亡確認 パキスタン武装勢力幹部」であった)。

【イスラマバード共同】パキスタンのイスラム武装勢力「パキス タンのタリバン運動」の新司令官に選出されたと伝えられるハキムラ・メスード氏ら複数の幹部は25日、米軍無人機の爆撃で殺害されたとみられているベイト ラ・メスード司令官の死亡を認めた。AP通信などに語った。

 ハキムラ氏は、2007年末のブット元首相暗殺の首謀者とされるベイトラ司令官について「米軍無人機の爆撃で今月5日に負傷し、2日前(23日)に死亡した」と説明した。

 パキスタン政府などはベイトラ司令官が5日に死亡したとみていたが、遺体は見つからず、武装勢力側は一貫して死亡説を否定。ハキムラ氏は22日に後継司令官選出が伝えられたが、内部対立で武装勢力内が混乱しているとの見方も出ていた。

 ハキムラ氏は28歳で、6月に起きた北西部ペシャワルの高級ホテルでの自爆テロにも関与したとされる。(出典:共同通信


そもそも事の発端は、記事が伝える様に、今年8月、パキスタンの部族地域に対して行われた米軍の無人攻撃機による空襲である。その犠牲者の中にTTPのベイト ラ・メスード司令官が含まれている可能性があるという米国の見解がまず伝えられ、時を擱かずしてパキスタン当局が早々に同司令官の死亡を宣言していた。
それに対してTTP側は一貫して「メスード司令官は負傷しただけ」と死亡説を否定してきたが、ここに至って遂に死亡説を認めたのである。

このベイト ラ・メスードという人物は、2007年のブット元パキスタン首相の暗殺を始めとした数々のテロ活動の黒幕とされており、その首に対して米国は500万ドルの賞金をかけてその行方を追っていた。それほどの「危険人物」の死を味方のTTPすら認めたということは、アフガン・パキスタン地域で苦闘にのたうち回る米国・NATOにとっては数少ない朗報と言えるだろう。

しかし、ここで気になるのがパキスタン政府が早々に「メスード死亡説」を盛んに触れまわっていたことである。
パキスタンにおける最大の政治勢力でもあるパキスタン軍が、米国の対テロ戦争に協力する一方で、アフガン・パキスタン地域に巣食うイスラム過激派諸勢力との強いコネクションを維持し続けていることは公然の秘密とされている。
そんな軍の意向を決して無視するわけにはいかない現パキスタン政府がいち早くメスード死亡を高らかに宣言したのだから、様々な邪推が浮かんでくるのも致し方ないと言えば致し方ない所があろう。

そう言えば、『魁!!男塾』で王大人に死亡宣告されたキャラは、大抵実は生きており、パワーアップしての再登場を果たしていた。

アフガン・パキスタン情勢、もう暫く血腥い展開が続きそうである。