2010年9月21日火曜日

第三百四十二段 他人の刀で敵を斬る

本日、帰りの電車でうたた寝して見た夢の話なぞ一つ・・・・

甲国ありて胡地を支配すること久し。胡地交通の要衝にして兵家必争の地なれども、住民の性は乱と闘争を好みて治め難し。甲国の宿痾となれり。甲王心労深く、説客を招きて策を求めたり。
甲王「我が国、胡地を治めること久し。なれど住民服せず度々乱をなせり。これ如何せん」
説客「我が兵を引くに如かず」
甲王「不可なり。胡地は治め難しと雖も、通行の要衝たりて狙うもの多し。我が兵退かば、恐らく乙国がこれを征服せん」
説客「臣それを求めたり」
甲王「何ぞや?」
説客「胡地の住民、剽悍にして気性荒く、帰順することを知らず。また乙国は土地を求めること貪欲にして退くことを知らず。もし乙国がこれを攻めれば、必ずや乙国と胡地の住民大いに争い、片方は跡形なく滅び、生き残りし者は大いに傷つくこと必定なり。我が方これに乗じて「旧領奪還」の大義を掲げて進攻せば、敵容易く敗れ、取り戻せし土地には患いなし。これ他人の刀で敵を斬る行いなり」
甲王「良し」

ここで目が覚めた火曜日夜の帰路。
正直夢を見るならこんな生臭さMAXの夢じゃなく、パチュリーさんときゃっきゃうふふの果てに膝枕してもらうとか、そんな夢が見たかったです。安西先生・・・orz

2010年9月20日月曜日

第三百四十一段 外交と内政の狭間

現代中国史の巨人鄧小平氏が1978年に訪日した折の事である。彼は尖閣諸島を巡る日中間の対立について日本人記者から見解を問われた時、以下のように答えている。

「この問題はわれわれと日本の間で論争があり、釣魚島を日本は『尖閣諸島』と呼び、名前からして異なる。この問題はしばらく置いてよいと思う。次の世代はわれわれより賢明で、実際的な解決法を見つけてくれるかもしれない

彼がこのように答え、「尖閣諸島問題」がなるべく日中関係に影響を与えないように抑制された態度を示した背後には、単に日中友好や平和志向といった綺麗事ではなく、ソ連との鋭い対立関係、後進的な国内経済を踏まえて、「経済大国日本との関係安定が中国に利益をもたらす」という冷静な現状認識があったと考えられる。

その鄧小平氏訪日から幾星霜、最早ソ連の存在はなく、国レベルでのGDPでは日本を凌駕するに至った中国(もっとも、国民一人当たりで見た時、あるいは沿海部と内陸部の落差を考えると、単純に「日中逆転」を囃すのもどうかと思うが・・・)は、「尖閣諸島問題」では明らかに鄧小平時代の”抑制”とは一線を画した姿勢を顕著にしてきている。
それが日本の安全保障に与える影響等については、諸賢の方々が大きく取り上げて論を交わしてたりするので、当ブログでは天邪鬼的に安全保障や外交とは別の方向から「尖閣諸島問題」について光を当ててみたい。

ここで話を東海の孤島から一気に北京に移すと、そこでは胡錦濤国家主席の後継を巡るレースが繰り広げられている。
後継についての下馬評については、習近平副主席、李克強副首相、李源潮中央政治局委員等の名が挙がり、中でも習近平副主席がリードしているというのが最大公約数的な所であろう。

しかし、この習近平副主席、昨年12月に訪日して大歓待を受けた(駆け出しの副主席としては珍しく今上天皇との接見まで行った)習近平副主席、この「尖閣諸島問題」では、以下のように実に悩ましい立場に置かれている。

悩ましい習近平副主席の立場

・「尖閣諸島問題」で穏健・抑制的なスタンスを明らかにする。
 →日本側の支持・期待は集められるが、中国国内の政敵に対して「彼はかつての訪日で
   籠絡された」、「媚日的傾向の持主」といった恰好の口撃材料を与えることになる。
・「尖閣諸島問題」で攻撃的なスタンスを明らかにする。
 →中国国内での不満や反論は避けられるが、訪日時やその前後に築いた対日パイプが
   水泡に帰しかねない

穏健、強硬、どちらのスタンスに取るにせよ、何かを守るために何かを失わなければならない状態であり、習近平副主席、「尖閣諸島問題」については極めて動きにくい状態にあると考えられる。

一方で他の後継レースのライバルたる李克強副首相や李源潮中央政治局委員は、今まで日本との接触・馴染みが薄かっただけに、今回の「尖閣諸島問題」では硬軟いずれの立場に身を置くにしろ、習近平副主席に比べれば「日本による籠絡」といった声を気にしなくてよい分、言動の自由部分が大きいと考えられる。

数々の対立点にも関わらず、日中関係の安定がもたらす利益の大きさは火を見るより明らかな所。その安定が損なわれようとしている今、そんな困難な事態の打開に成功した人間が現れた場合、その功績・評価は日本のみならず中国支配層の中でもかなり高まろうと思われる。

そう考えた時、次期主席を巡る競争で一歩リードが伝えられながらも今回の「尖閣諸島問題」では下手に動けない習近平副主席と、そうではないライバルたちの位置関係は、中国の今後を考える上で実に興味深いものがあると言えよう。