2013年4月1日月曜日

第四百八十一段 Beyond The Bashi Channel

過日、中国北海艦隊に所属する旅滬級駆逐艦青島、江凱II級フリゲート艦煙台及び塩城の3隻が、宮古海峡を越えてフィリピン海に入った後、台湾島とフィリピン・ルソン島の間にあるバシー海峡を越えて南シナ海南沙諸島一帯にまで足を延ばした一件があった。

従来の中国人民解放軍海軍(以下「PLAN」と表記)の艦艇の動かし方とは異なったパターンということもあって、物珍しく思い当ブログでも取り上げたのだが(注1)、今回、またもやPLANの艦艇がバシー海峡を越えたようである。

2013年3月29日付で新華社が次のように報じている。

正在进行远海训练的海军南海舰队联合机动编队29日6时许驶入巴士海峡,向西太平洋预定训练区航渡。

井冈山舰兵力群和兰州舰兵力群先后进入巴士海峡。通过海峡后,编队各舰将再次会合并航渡入西太平洋训练区,继续按计划开展海上维权、远海机动拦截、重要海区海上管控等科目的训练。

“与前期训练相比,下一步训练面临情况更加复杂,更加贴近实战,对各级指挥员的要求也更高。”编队指挥组组长林海说,编队希望通过这一系列的针对性训练,进一步掌握装备在西太平洋海区的实际性能,进一步检验编队远海精确打击、一体防空作战的相关战法训法,进一步细化完善海上维权、反恐反海盗等非战争军事行动的方案预案,加强探索在远离岸基情报信息支援下提高编队体系作战能力的方法。

巴士海峡位于我国台湾岛与菲律宾巴坦群岛之间,是连接南海和太平洋的重要海上国际航道。“巴士海峡为非领海海峡,编队通过巴士海峡到西太平洋公海海域组织正常训练,符合《联合国海洋法公约》等国际法,也是世界各国海军的通行做法。”南海舰队军事法院审判员王志和说。

近年来,海军多次组织部队在太平洋海域进行多科目合成训练,水面舰艇昼夜航行训练从数百海里到数千海里,航空兵长途奔袭由一般气象条件到复杂气象条件。

气象资料显示,在冷空气的影响下,巴士海峡未来数小时内风力有所加大、海况比较差,但大风浪持续时间较短,对我舰艇编队航行和训练不会造成明显影响。

截至目前,编队已连续航行11昼夜,总航程约2800海里。
(2013年3月29日付 新華社)
上記記事によると、PLAN南海艦隊に所属するドック型揚陸艦井崗山、江凱II級フリゲート艦の玉林と衡水、蘭州級駆逐艦の一番艦である蘭州の計4隻からなるチームが、29日、バシー海峡を越えて西太平洋(フィリピン海)に入ったという。

この井崗山、玉林と衡水、蘭州の4隻は、南海艦隊司令部のある広東省湛江を出港し、今月20日前後から南シナ海南沙諸島一帯での訓練(揚陸訓練含む)・巡廻活動を繰り広げていた(注2)。それが針路を北に向け、29日にはバシー海峡を越えてフィリピン海に入ったのである。

この井崗山等の航路を大まかに図示すると以下のような形になる(地図上の赤矢印が井崗山等の航路を示す)。


先月、宮古海峡→フィリピン海→バシー海峡→南シナ海という順序で足を延ばした北海艦隊所属の青島、煙台及び塩城の航路をほぼ逆に辿る形の航路と言えるが、これを見ていて気になって来るのが、今回南シナ海からバシー海峡を抜けてフィリピン海入りした艦艇に中国新鋭の揚陸艦たる井崗山が含まれているという点である。

そもそも、PLANが揚陸作戦を実施する可能性がある場所というのを考えると、最近は南シナ海の西沙・南沙諸島、東シナ海の尖閣諸島に注目が集まりがちだが、やはり最大の焦点となるのは台湾であろう。そして、その台湾に対する中国の軍事的脅威は、航空機や軍艦であれ、弾道ミサイルであれ、多くが台湾海峡を越えてくる、いわば「西からの脅威」として一般に語られてきた。
しかし、PLAN北海・東海艦隊の艦艇が宮古海峡を越えてフィリピン海での活動することが珍しくもなくなってきた昨今、そこに加えて、今回の井崗山のバシー海峡越えを皮切りに、PLAN南海艦隊の揚陸船やその他軍艦がフィリピン海での活動を恒常化させてくるようだと、台湾にとって従来の「西からの脅威」に加え、「東からの脅威」、更には「東西挟撃という脅威」がより一層不気味さを増してくるのではないかと考えられる。

注釈
注1.当ブログの第四百七十八段「中国北海艦隊艦艇、南シナ海へ行く」を参照のこと。
注2.南シナ海で訓練・巡廻を実施している井崗山、玉林と衡水、蘭州の様子ついては、新華社が2013年3月22日付「本网记者实拍海军远海训练舰艇在南海编队航行」で写真を掲載と共に紹介している

参考資料
・新華社 「本网记者实拍海军远海训练舰艇在南海编队航行」 2013年3月22日
・同上 「海军舰艇编队从巴士海峡驶向西太平洋 」 2013年3月29日